求める人物像を全社で言語化。

人事評価と育成が連動する組織への変革

不動産業 【人事制度】【評価制度】【育成・研修】【組織開発(組織文化)】

東急不動産SCマネジメント株式会社 様



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東急不動産SCマネジメント株式会社は、商業施設の運営管理を中心に、地域価値の向上や新規事業にも挑戦しています。同社では事業の転換期を迎えるなかで、変化を捉え挑戦できる人材の育成が重要なテーマとなっていました。本事例では、以下のサマリーにあるような課題に対してどのように取り組んでいったかを、東急不動産SCマネジメント株式会社の3名と、担当コンサルタント五十嵐との対談形式でお届けします。

対談者紹介
経営管理本部 経営戦略部 
 統括部長:牧 裕二 様
 人事企画課 課長:加藤 光 様
 人事企画課 リーダー:小川 紀子 様

担当コンサルタント :五十嵐 祐幸

本事例のサマリー
【課題】
期待される行動・マインドの曖昧さから、現行の人事評価への納得感不足が生じつつあった。未来に向けて必要な人物像の定義や、それに対応する人事評価制度の構築が急務だった。

【方法】
求める人物像の言語化、行動指標(コンピテンシー)の再整理、人事制度と研修をつなぐ設計、管理職・階層別研修の段階的な実施。

【成果】
求める人物像が全社の共通言語となり、人事評価の納得感が向上。一人ひとりが求める人物像を意識し、行動変容が進みつつある。




社会の変化に寄り添う施設運営で
「夢ある場」づくりを推進



——貴社について教えてください。


弊社は、東急不動産ホールディングスグループの一員として、商業施設の運営・マネジメントを中心に事業を展開しています。東急不動産が開発した商業施設の運営で培ったノウハウを活かし、テナントリーシングや販促企画、施設運営、リニューアル支援など、多様なサービスを手がけています。「商業施設のスペシャリスト」集団として、変化する社会や生活者のニーズに寄り添いながら、常に新しい取り組みやアイデアを追求し、「夢あるリアルな場」の活性化と価値向上に努めてきました。さらに、地域やお客様との連携も重視し、商業施設を通じて街全体に新たな魅力と賑わいを生み出すことを目指しています。


評価制度と期待役割のギャップが生んだ課題、
求められた変革



──取り組み前に抱えていた課題を教えてください。


https://sas-com.com/casestudy/upload/DSC02755.JPG.jpg 牧様
商業施設運営を軸に、街づくりや新規事業にも挑戦していくなかで、「変化を捉え、挑戦できる文化づくり」の重要度が上がっていました。 ちょうどそのタイミングで実施した全社アンケートでは、「評価への納得感」が課題として浮かび上がりました。1on1などで従業員との対話は重ねていたものの、会社の期待がどのようにつながっているのかが十分に伝わりきっておらず、認識にギャップが生じていたのです。

小川様
新規事業にも力を入れ、会社全体でチャレンジの気運を高めていくなかで、これからのフェーズで従業員に求めたい行動やマインドが明確に定義されていない。当時の制度では、その「未来像」との結びつきが弱かったのです。

加藤様
そのような状況でしたので、私たちが何を大事にし、どんな人材に成長してほしいかを言語化する必要性も強く感じていました。


人材像→制度→育成を一体化する、
人事制度変更の伴走支援



——弊社サービスの導入を決めた背景を教えていただけますか?


牧様
自社の思想を大切にしながら、ともに人事制度をつくるパートナーを探していました。五十嵐さんは、初回の対話から弊社の歴史、価値観、現場のリアルを深く理解しようとする姿勢が印象的でした。「この方なら安心して任せられる」と感じたのでご依頼させていただきました。

小川様
抽象的な話でも、こちらの意図を汲み取って言語化してくれるので、自然と共通の理解ができていく感覚がありましたね。

五十嵐
ありがとうございます。私自身、人事制度を「つくって終わり」にしたくない、という強い想いがあります。 制度改定はゴールではなく、会社が目指す未来にふさわしい行動を促すための「仕組み」です。だからこそ、形式的に作るのではなく、
・経営の意図
・組織の実態
・そこで働く皆様の想い
を丁寧に理解しながら一緒に考えていくことを、私たちは大切にしています。


──まず人事制度の導入支援からご一緒しましたよね。その後、実際の運用と育成施策にも広がっていきました。


牧様
ちょうど弊社は既存事業に加え、新規事業を立ち上げていくという転換期でした。フェーズが変わると、求められる行動やマインドも変化します。五十嵐さんのご提案を受け、まずは前提となる考え方を整理するところから関わっていただくことになりました。

五十嵐
制度を変えるだけでは不十分で、「どんな人材を目指してほしいのか」を明確にすることが重要です。求める人物像がはっきりすると期待する行動が具体的になり、組織全体で共通認識が持てるようになります。その結果、従業員が方向性を理解して動きやすくなり、制度の浸透や行動変容もスムーズに進んでいきます。

牧様
①求める人物像の策定、②コンピテンシーの見直し、③階層別の教育体系の設計、④各研修の実施、と一貫して伴走支援いただきました。 現在は各研修の実施フェーズに入り、3年先を見据えて段階的に研修を進めています。





社内公募と情報開示で、
巻き込み型の人事制度プロジェクト推進を実現



──「求める人物像」の策定プロジェクトはいかがでしたか?

牧様
プロジェクト推進のこだわりとして、トップダウンではなく、みんなを巻き込みたかったんです。現場の声を反映し、納得感のある「求める人物像」にしたくて。 社内でプロジェクトメンバーを公募し、若手から管理職まで参加してもらいました。さらに、全従業員に「活躍する人ってどんな人?」という内容のアンケートも実施。 その結果、理想論ではなく、実際の組織に根づきやすい人物像にできたと思います。自分たちで関わったからこそ納得感が生まれ、社内への浸透も着実に進んでいると感じています。

加藤様
できるだけ多くの従業員に参加してもらえるよう、参加のハードルを下げました。ディスカッションの場を複数回予定していたのですが、「1回参加でもOK」にしたことで、多様なメンバーが集まりましたね。


——現場を巻き込むってとても大事ですよね。他に何か工夫されたことはありますか?

五十嵐
「自分たちのプロジェクト」と思ってもらうため、途中経過を開示することを重視しました。社内報等で取り組みを発信し、参加できなかった人も置いていかない工夫を提案しました。

小川様
五十嵐さんからの提案を受けて、本プロジェクトについては社内報(ユメリア)で発信していきました。 プロジェクトに直接参加していない従業員にも「仲間として一緒に歩んでいる」感覚を持ってほしいという思いがありました。そのため、メンバーの名前や写真を多く掲載し、単に内容を共有するだけではなく、現場の雰囲気まで伝わるよう工夫して展開しました。

加藤様
閲覧数も高く、みんな関心をもって見てくれていました。そうした反応は、私個人としても嬉しかったですね。


「求める人物像」が共通言語し、
評価と育成が連動する運用フェーズへ



──現在は、策定した「求める人物像」を基盤にした制度運用や教育が始まっていますが、いかがでしょうか?


https://sas-com.com/casestudy/upload/ffc93fd1c44fa6372d9723e69bdf16ef443492fe.jpg 加藤様
私は「新任管理職研修」にオブザーバーとして参加しました。この研修は新しく管理職に任命された従業員を対象としています。評価のつけ方や部下への声掛けの仕方など、管理職としてまず身につけたい基本の考え方と関わり方をつかむ良い機会になっていると感じています。五十嵐さんから、実務に直結する内容をとてもわかりやすく伝えてもらっているので、 受講者からの研修の評判がとても良いです。会社が新任管理職に求めていることを理解浸透するに向けて、この研修は欠かせないと感じますね。


牧様
「管理職のあるべき姿」を新任の管理職へしっかり伝えられる良い機会になっていますよね。

五十嵐
そうですね。「管理職のあるべき姿」は、会社によっては意外と認識がそろっていないことがあります。今回の新任管理職研修では、その姿を共有し共通認識を持てたことで、管理職同士に「困ったら相談する」「学び合う」動きが生まれました。一人で抱え込みがちな管理職同士が、共通の認識を持ち、助け合える関係になったことは、管理職のアップデートにつながる大きな一歩だと感じています。

小川様
整理したコンピテンシーも浸透してきたと実感しています。 研修後のアンケートの回答から、理解が深まっていることが伝わってきますね。

加藤様
コンピテンシーが明確になったことで、評価もしやすくなりました。 「この項目に沿った行動があるからA評価にしよう」と、評価理由をきちんと説明できるようになっています。

小川様
管理職向けだけでなく、等級ごとの研修も進めています。同じ等級同士で意見交換できる機会は貴重で、参加者から「こういう場がもっとほしい」という前向きな声が増えています。従業員からの会社への期待を感じますね。 研修後のアンケートでも「コンピテンシーに沿っていて評価の納得度が上がった」「制度と日々の行動がつながった」という声が増え、評価の基盤にある考え方が現場に浸透している実感があります。

五十嵐
人事評価の内容やその意図って、評価する側だけが分かっていてもダメで、される側もちゃんと理解していることが大事ですよね。私たちは、
・求める人物像を決める
・それに合わせて制度をつくる
・成長を支える研修につなげる
という順番を大切にしています。 制度策定→研修実施ではなく、求める人物像の明確化→制度策定→研修実施と運用改善。 そうすることで従業員の皆さんの納得感が高まり、行動も前向きになります。

中長期的に根づく人事制度と研修で、
挑戦と成長を後押しする組織へ



──ここまでの取り組み全体を振り返ってのご感想をお教えください。

小川様
弊社の経営戦略に沿った人物像、制度・教育の体系が出来上がったと思います。 研修設計の段階では、五十嵐さんが「対象者はどんな役割か」「いま何に悩んでいるか」「今回どんな変化を期待するか」を丁寧にヒアリングしてくれました。 画一的なプログラムではなく、弊社の状況や従業員の特徴に合わせて設計してくれるので、受講者の理解が深まります。また、受講者から上がった質問への回答も、五十嵐さんのご経験を踏まえた回答なので、具体的で説得力がありました。

牧様
五十嵐さんは多くの選択肢を示しつつ、「最終的には御社で判断してください」というスタンスで伴走してくださいます。 こちら側が主体的に判断することで、私たち自身の納得感や当事者意識が高まる、そんな支援の姿勢にも大きな魅力を感じています。


──成果を感じていただけて良かったです。最後に今後の展望をお聞かせください。

加藤様
まずは、今回策定した制度や研修を一過性のものにせず、中長期的に会社全体に根づかせていきたいと考えています。 今回の取り組みを通じて目指したいのは、従業員一人ひとりが「自分の成長」に主体的に向き合える組織です。 制度や研修はあくまできっかけであり、最終的には従業員自身が学び続け、成長を楽しめる環境をつくっていきたいと考えています。 それが、「変化を捉え、挑戦できる文化」に繋がっていくと感じています。そのためにも、これからも人材育成に力を入れ、従業員が自分の可能性を広げられる環境づくりを進めていきたいです。

小川様
新たな研修がスタートし、いい流れができていると感じています。 今後は管理職をこれまで以上に巻き込み、マネジメントの視点から組織全体の成長を後押しできるようにしていきたいと思っています。 管理職が変わることで、現場の動き方やメンバーの姿勢にも良い影響が広がるはずだと期待しています。

牧様
制度や研修は「作って終わり」ではなく、時代や働き方に合わせて進化させる必要があります。変化に柔軟に対応しながら、従業員が安心して力を発揮できる環境を継続的に整えることが重要だと考えています。 特に大切にしているのは、互いを信頼し、率直に意見や課題を伝え合える関係性です。日常の関係性でその土台がないと、従業員が萎縮し、本来の力が出せず、評価の質にも影響します。 今回の取り組みで、その基盤が確実に整いつつあると感じています。今後も安心感と信頼を持ちながら意見が交わせ、挑戦と成長を後押しできる組織をさらに育てていきたいです。







担当コンサルタントより



HRコンサルティング部 責任者 五十嵐 祐幸

新規事業を力強く推進できる組織への変革に向けて、求める人物像の策定から研修実施までを一貫してご支援しました。 印象的だったのは、「自分たちの組織を自分たちでつくる」という想いを強くお持ちだったことです。 プロジェクトメンバーの公募や従業員アンケートを通じて現場の声を反映し、制度を「自分ごと」として浸透させていこうとする姿勢は、同社ならではの強みだと感じます。 私たちは、その想いをかたちにする伴走者として、制度づくりにとどまらず、その先にある「文化づくり」を見据えて支援してきました。 仕組みの先にある人の成長と組織の変化――その両輪が、いま確かに動き出していると感じています。