ひとりで担ってきた内定者フォローが変わった。 入社前から同期と社員がつながる2段階の内定者研修

HRコンサルティング [内定者フォロー] [内定者研修] [定着支援]

エス・ビー・エス株式会社 様

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エス・ビー・エス株式会社は、金融・製造・小売など多業種の業務システムを、企画から保守まで一貫して手がけるITソリューション企業です。同社では、全国の大学から新卒採用を行なうなかで、入社前の内定者フォローに課題を抱えていました。本事例では、以下のサマリーにあるような課題に対してどのように取り組んでいったかを、エス・ビー・エス株式会社の長尾様と、担当コンサルタント鶴谷との対談形式でお届けします。

対談者紹介
Rプロジェクト 会長付特命担当部長
 長尾 昌義 様

担当コンサルタント :鶴谷 重明

本事例のサマリー
【課題】
採用から入社前研修まで1名で担当するなかで、内定後のフォローを設計する時間が取れず、毎年同じ内容の研修が続いていた。従来のコミュニケーション研修では、「自分たちで考える」経験まで踏み込めないもどかしさもあった。同期のつながりは入社後の定着の基盤になると考えていたが、全国から採用するため、内定者同士が入社前に顔を合わせる機会が少なく、横のつながりが育ちにくい構造的な問題があった。また、既存社員も内定者のことを入社日まで深く知る機会がなく、縦のつながりの起点が入社後にしか生まれない状況だった。

【方法】
内定者同士の関係性構築を目的とした12月の研修(関係性づくり)と、既存社員との接続も意識した3月の研修(自己理解・未来像の言語化)を2段階で設計。研修中の行動観察をもとに、内定者一人ひとりの所見レポートを作成し、配属検討の材料として提供した。研修の様子はライブ配信やアーカイブで展開し、既存社員が内定者を入社前から知れる仕組みも整えた。

【成果】
内定者同士は、3月の研修では互いに深いところまで話せる関係になり、途中から加わったメンバーを自然に迎え入れる場面も生まれた。入社後の交流会でも、例年と明らかに異なる積極的なコミュニケーションが見られた。既存社員が内定者の顔・人柄を事前に把握したことで、入社初日から受け入れ体制が整った状態に。




技術力だけで終わらない
「人間力」を育むITソリューション企業



——貴社について教えてください。

長尾様
弊社は1985年の創業以来、金融・製造・小売・運輸・情報通信など幅広い業種のお客様に対して、業務アプリケーションの企画・開発・保守を一貫して手がけてきたITソリューション企業です。SalesforceやAWS、ERPなど最新のデジタル技術を活用し、お客様のバックオフィスからフロントオフィスまで、経営課題の解決をお客様の立場に立って支援しています。現在は従業員119名、アメリカに子会社も持つグローバルな体制を整えています。 弊社のコンセプトは「Systems engineers Beyond Systems engineers」、つまりSEの枠を超えたSEです。技術力だけでなく「人間力」を重視するのが弊社の特徴で、創業から40年以上、連続黒字・無借金経営を続けています。 私はRプロジェクトという部署で、採用から入社前研修まで一貫して担当しています。事業拡大のために、どんな人材を採り、どう育てるかを日々考えています。


「去年と同じ」からの脱却
内定者同士の関係性づくりを見直す



──取り組み前に抱えていた課題を教えてください。

長尾様
新卒採用から入社前研修まで、基本的に私一人で担当しています。そのため、内定を出してから入社までの間に何をしてあげればいいか、じっくり考える時間がなかなか取れない状態が続いていました。そうなると「今年も去年と同じ内容で」となってしまう。毎年同じ研修を繰り返しながら、どこかでモヤモヤを抱えていました。続けてきたコミュニケーション研修にも良さはあったのですが、「自分たちで考える」という経験までは、なかなか踏み込めていませんでした。せっかく見直すなら、弊社が大切にしている「人間力」や会社の方針といったエッセンスも、研修に取り入れたいという思いがありました。 もう一つ気になっていたのが、同期の横のつながりです。弊社は内定者が全国各地から来るため、入社前に同期同士が顔を合わせる機会がほとんどありません。仕事が辛くなった時に相談できる相手が社内にいれば、人は辞めにくくなる。その基盤をもっと強固にしたいと、ずっと考えていました。


内定者同士から既存社員まで
2段階の研修でつながりを育む



——弊社サービスの導入を決めた背景を教えていただけますか?

長尾様
HRコンサルティング部が定期的に開催しているウェビナーを聴き、ご相談させていただいたのがきっかけです。 ウェビナーを聴いたときに「これなら」と思いました。 最初の打ち合わせで、「何をやりたいか」より先に「何に困っているか」から話を聞いてくれて、それが安心感につながりました。

鶴谷
最初のお打ち合わせでは、まず長尾様が何に困っていらっしゃるのかをじっくり伺いました。私自身、事業会社で中途採用の実務を長く経験してきたこともあり、お一人で採用から入社前フォローまで担われる大変さは、手に取るようにわかりました。だからこそ、こちらから答えをお持ちするのではなく、長尾様が感じてこられたモヤモヤを一つずつ言葉にしながら、内定者研修の見直しをご一緒するご提案をしました。



──今回は、12月と3月の2回、内定者の方向けに研修を実施させていただきましたよね。


長尾様
鶴谷
12月の研修では、グループワークを通じて​自分の役割を感じ、お互いの人柄も知り、同期とのつながりを深めていくことを目的としました。 3月の研修では、自己理解・自己開示を通じて、同期はもちろん、上司や先輩達との心の距離が近くなることを目的に実施しましたよね。

長尾様
12月の研修では、いくつかのワークをやってもらいましたが、私が特に気に入ったのは、研修の最後に実施された「私からあなたに一言」のワークです。 相手に対して感じたことや、感謝を短い言葉でカードに書いて渡し合うのですが、誰かに認められたという感覚は特に大事だと思っています。 研修が終わった時、「楽しかった」と言ってもらえました。 内定者同士で活発に話し合い、お互いを認め合うことができたからこそ、そう感じてもらえたのかなと思い、とても嬉しかったですね。 3月の研修は、12月とはまた違う雰囲気で、内定者同士がより深いところまで話せるようになっていましたね。 途中から外国籍のメンバーが一人加わったのですが、他のメンバーが自然にウェルカムな雰囲気を出していました。 あれは12月を一緒に過ごしたからこそだと思います。


鶴谷
私は、講師として研修の進行を行ないつつ、内定者の方々の細かな行動やしぐさをずっと観察していました。 コミュニケーションの取り方、場の中での役割、誰に対してどう関わるか。 そういうことが積み重なって、「この方はこういう環境が合う」という所見につながります。 12月の研修後には、内定者一人ひとりへの行動観察レポートと配属に向けた所見をお渡ししました。 内定者研修は、内定者のためだけにあるわけではありません。受け入れ側にとっても、入社後の配属や育成を考えるための貴重な機会です。面接だけでは見えにくい「その人がどんな場でどう動くか」が、集団のなかで自然と現れてきます。

長尾様
「研修という短時間でよく見てくださっているな」と思いました。 私も面接を通じてある程度は把握しているつもりですが、研修という場でのふるまいや言動から性質を掴んで言葉にしてくれていました。 私が感じていたこととも重なっていましたし、配属の参考にもなりました。 もう一つ、今回新しく取り組んだことがあります。 3月の研修を社内にライブ配信し、アーカイブとしても既存社員が見られるようにしたんです。 これは、「既存社員も、内定者のことが事前に知りたいのではないか」という発想からでした。 結果として、課長・部長クラスも含めて10人以上が見てくれました。




入社前から始まる受け入れ体制
組織全体で内定者を迎える仕組みへ



──取り組みを振り返ってのご感想をお教えください。

長尾様
こんなに変わるんだと、正直驚いています。3月の研修のアーカイブを通じて、趣味や得意なことまで把握できるので、自然に話しかけるきっかけが生まれます。入社式の日に初めて顔を合わせていた今までとは、まったく違う雰囲気です。 今年は配属先の社員が受け入れ体制をしっかり整えてくれていて、みんなが内定者の顔と名前を知っている状態で入社を迎えられます。内定者が変わったのはもちろんですが、受け入れる社員側の意識も変わったように感じます。


──成果を感じていただけて良かったです。最後に今後の展望をお聞かせください。

長尾様
引き続き、同期の横のつながりをどう育てるかを考えていきたいと思っています。座学の研修だけでなく、外に出て体を動かすアクティビティも取り入れてみたいですね。チームで考えながら動く、といった経験をさせたいと思っています。 また、弊社への愛着がさらに深まるような施策も実行していきたいですね。

鶴谷
入社前のフォローと、入社後の定着。この二つはつながっています。今年つくった同期の横のつながりが、入社後にどんな力を発揮するか、私たちも楽しみにしています。今後も一緒に考えさせてください。



担当コンサルタントより



HRコンサルティング部  鶴谷 重明

長尾様が抱えていた課題は、「研修をどうするか」ではなく、「入社前の半年間に内定者の心をどうつなぐか」というものでした。 採用担当として一人で向き合ってきたその問いに、私たちは研修というかたちで一緒に答えを出しました。 印象的だったのは、長尾様ご自身が内定者一人ひとりをとても大切に見ていらっしゃることです。 「同期がつながっていれば、辞めにくくなる」という信念は、長年の採用経験から来るものでした。 私たちはその信念をかたちにするお手伝いをしたにすぎません。 入社前につくられた関係性の種が、入社後にどう育っていくか。これからも伴走していきたいと思っています。